宇宙船レッドドワーフ号(Red Dwarf)


 NHKというと、どちらかというとお堅い印象がありますが、海外ドラマについては、その印象はずいぶん違うようようです。もちろんNHKの海外ドラマといえば『ER 救急救命室』などの硬派ドラマもありますが、ことに海外コメディについては「こんなのNHKが放送していいの?」という番組も少なくありません。そんなNHKのコメディのなかから、今回は『宇宙船レッドドワーフ号』を紹介したいと思います。
 『宇宙船レッドドワーフ号』は英国BBCテレビの製作したSFドラマで、30分枠で全52話という構成ながら、1988年〜1997年という長期にわたって放送され、英国や米国ではカルト的な人気を誇ります。
 舞台は23世紀。宇宙を漂流する宇宙事業団の鉱石輸送船レッド・ドワーフ号のクルーたちがさまざまな事件に巻き込まれつつ、一路地球を目指す…という、きわめて古典的なSFのストーリーです。しかし、ユニークなのはクルー全員が自堕落でおバカなどうしょうもないクズばかりであることでしょう。
 レッド・ドワーフ号は航行中に放射能漏れの事故を起こし、数百人のクルーは一瞬のうちにほぼ全員死亡します。たまたま船内に不法に猫を持ち込んだことで、時間停止カプセルに入れられていたデーブ・リスター三等技術士が、ただ一人だけ生き残ります。リスターが時間停止カプセルから解放されると、船内のいたるところに白い粉のようなものが積もっていますが、これは事故で死んだクルーの跡で、とてつもない月日が流れていたことが判明します。実はドワーフ号のコンピュータ・ホリーは、放射能の半減期を経た300万年後にリスターを解放したのでした。
 ホリーは宇宙事業団の規定にしたがって、クルーを1人だけホログラムとして蘇らせます。そのホログラムは、よりにもよってリスターとは犬猿の仲である、ルール大好きで昇進に燃える男アーノルド・リマーでした。
 同じころ、通風孔から踊りながら飛び出してきた人物がいました。彼こそ、リスターのペットの猫が300万年かけて人間に進化した猫族の生き残りのキャットです。
 さらにリスターが難破船から救助したメカノイドのクライテン、リスターの元恋人のコチャンスキー(ただし、異次元から来た別人)などもが加わり、クルー同士が互いに罵倒や皮肉を言い合いながら、地球に向けて長い旅をはじめます。

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